こんにちは!ちくです!
ボクはサッカー歴30年以上の大ベテランで、日々サッカーの研究をやっていますが、最近は『幸福な子育て』に関しても研究しています。
サッカーや子育てを通して、『幸福な親子関係』を築く手助けをしたいと思い発信をしています。
ボクには現在(2025年7月)、6歳の息子と5歳の娘と0歳の息子がいます。
自分の「サッカー&子育ての研究」を皆様に共有して、少しでも幸せを感じてくれる人が増えてくれたら嬉しいです。
今日のテーマは「基礎練習は必要なのか?」について考えていきたいと思います。
今日ここで取りあげたい基礎練習と言うのは、
例えば
- リフティング
- ボールタッチ(ボールマスタリー)
- コーンドリブル
- ディフェンスのいないシュート練習
- トラップ&パス練習
などなど・・・。
簡単に言うと、相手ディフェンダーがおらず、判断を必要としない、ただ繰り返すだけの練習のことです。
結論から言うとボクは
基礎練習は必要ない
と思っています。
「基礎はなによりも大事だろ」と思う人が大勢いるのもわかっています。
ちょっと前のボクも基礎練習が大好きで、とても大切だと思っていました。
事実、ボク自身、子供のときに基礎練習をたくさんこなしてきた人間です。
ですが、今は必要ないと思っています。
理由を順番に説明していきます。
今日の記事は下の本を参考に書いています。
この本を読んだら本当に考え方が180度変わるのでぜひ読んで欲しいです。
マジでいい本です。
練習の目的とは?

なぜ基礎練習が必要ないのかを考える前に「練習の目的」を考えていきましょう。
ボクが考える練習の目的は大きく2つあります。
練習の2つの目的は
- 試合で活躍すること
- サッカーが好きになること
です。
順番に見ていきましょう。
試合で活躍すること
練習のいちばんの目的は試合で使えるスキルを身につけることだと思います。
つまり、
試合で活躍できるように練習する
これですよね。
上であげた基礎練習も試合で活躍できるようにと頑張ってやっているはずです。
ですが、多くの研究で判断を伴わない練習は試合で使えない、使いにくいという結果が出ているんですね。
判断を伴わない練習とは先ほど見てもらった
- リフティング
- ボールタッチ(ボールマスタリー)
- コーンドリブル
- ディフェンスのいないシュート練習
- トラップ&パス練習
などの練習のことです。
例えば、
サッカーのクロスからシュートというトレーニングを対象とした研究には、ディフェンダーを付けないトレーニングの転移を否定しているものもあります。その研究によると、クロスの練習にディフェンダーを付けなかったり、ディフェンダーとの距離が遠すぎたりすると、試合で使うクロスとは事実上異なる運動を学習していることになるそうです。
「転移」とは、学習したスキルが試合で発揮されることを意味します。
これはどういうことかというと、試合で使えない技術を練習しているということです。
つまり練習のための練習をやっているということですね。
このような研究がいっぱいあるそうです。
これはシュート練習だけではなく、相手がいない練習のほとんどに言えることだと思います。
よく、「日本人はテクニックはあるけどサッカーが下手」と揶揄されることがあるけど、要は試合で使えない練習に重きを置いてるからやで。
InstagramやYouTubeを観ると、バズらせるために目を引くテクニック動画がたくさん出てきます。
ドリブルだけに特化したサッカースクールも流行っています。
ですが、判断を伴わないテクニックだけの練習は、試合では使えないので注意してください。
サッカーが好きになること
もう一つ大きな練習の目的に
サッカーを好きになること
があります。
「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、好きになったら自然とサッカーは上手くなっていくからです。
子供たちが「なぜサッカー少年団などのチームに所属するのか?」「何をやりたいからサッカーの練習に行くのか?」を少し考えてみて欲しいと思います。
答えは
サッカーがやりたい
これですよね。
基礎練習をやりたいからサッカーの練習に行くという子供はあまりいないと思います。
うちの6歳の息子は地元のサッカー少年団に通っていますが、最近練習に行きたがりません。
なぜ行きたくないのか話を聞いたら
練習が面白くない
とのことです。
ただ、サッカーは好きなので、毎日のように家の中でボールを蹴ったり、外に「サッカーをやりに行こう」とボクを誘ってきます。
息子はボクと公園で一対一をやるわけですが、本当に楽しそうにやっています。
ちなみに息子が通っているサッカー少年団の練習は
45分~1時間:ボールを使わないサーキットトレーニング
30分:ボールタッチ、リフティング、シュート練習
最後の15分:試合
という感じですね。
毎週ほぼ同じです。
うちの息子は最後の試合形式の練習こそ楽しそうにやっていますが、それ以外はあまり楽しくないそうです。
もちろん基礎練習は繰り返しやるごとに上手くなり、やればれるほど楽しくなることはあります。
ボクもリフティングは楽しいので大好きです。
ただ、最初からそればかりやらせても、上手くなる前にあきてしまうことも多いと思っています。
ここで誤解がないように言っておきたいのですが、これはコーチたちに文句があるわけではありません。
サッカーを教えてくれているコーチたちには感謝しかありません。
ですが、せっかく教えてくれているのに、とてももったいないと思ってしまうんですよね。
ですので、今日はあえてこのような記事を書かせていただいています。
なぜ基礎練習は必要ないのか?

以上を踏まえると、なぜ基礎練習が必要ないのかがわかってきます。
- 試合で活躍できないから
- サッカーが好きにならないから
この2つですね。
1つずつ見ていきますね。
試合で活躍できないから
先ほども言ったように、試合で活躍できない理由は、「相手がいない判断を伴わない基礎練習」は、事実上試合とは違う動きを学習しているからです。
要はいくら相手がいない状況でのボールタッチの練習をしても、試合ではあまり役に立たないということです。
ボクの経験では
高校のチームメイトでボールタッチ(ボールマスタリング)やリフティングがめちゃくちゃ上手い友達がいました。
一人でボールを触って練習しているときは、めちゃくちゃ上手くてほれぼれするほどです。
ですが、試合になるとそのテクニックはどこに消えてしまうのか、あまり活躍ができないのです。
当時のボクはサッカーの研究をしていなかったので「なぜ活躍できないのか?」とても不思議でしたが、今ならわかるようになりました。
ボールタッチやリフティングは試合ではそのまま使えないからです。
他にも
サッカーからフリースタイルフットボールに転向した先輩がいました。
フリースタイルフットボールとは簡単に言うと、リフティングの技を競う競技のことです。
その先輩はリフティングはめちゃくちゃ上手くなっていましたが、サッカーの実力はまったく上がっていませんでした。
リフティングを極めたらサッカーが上手くなるなら、フリースタイルフットボールの世界一の選手がそのままサッカーの世界でも世界一になるはずです。
でも、そうはなっていないですよね。
このことからも、相手のいない判断を伴わない練習をいくらしても試合で活躍できるようにはならないことがわかります。
サッカーが好きにならないから
先述しましたが、子供達は何がしたいからサッカー少年団などに入るかと言うと、
サッカーをしたいから
ですよね。
だからサッカーができれば子供たちは楽しめるはずです。
そして、夢中になってサッカーがどんどん好きになっていくはずなんです。
ここで多くの指導者は疑問に思うのではないでしょうか?
「ある程度ボールコントロールが出来るようにならないと試合が楽しめないのではないか?」と。
指導者の方が基礎練習をたくさんやらせようとする理由のひとつに、「ある程度ボールコントロールを身につけてからサッカーをやらせたい」という意図があるのではないかと思います。
ですが、ここでもボクの経験を話しますが、ボールコントロールが上手くなくてもサッカーは楽しめます。
ボクが初めてサッカーを友達とやったときの話です。
小学生の1、2年生ぐらいのことなので、今から40年近く前です。
友達の家の裏に小さな広場があって、そこで10人ぐらいでサッカーをやりました。
初めての経験でしたので、まったくボールコントロールはできません。
しかもその時ボクは、サンダルを履いていました。
それでも、今でも思い出せるぐらいめちゃくちゃ楽しかったのです。
サンダルを履いていたので、爪が割れて足から血が出ましたが、夢中で走り回って終わるまで気がつかなかったほどです。
このような経験からサッカーは素人でも充分楽しめることがわかります。
逆に、リフティングなどの基礎練習はある程度スキルがついてこないと難しいです。
いきなり子供にリフティングをしろと言っても、全くできないことがほとんどだと思います。
それでも無理やり面白くない基礎練習ばかりを続けると、サッカーが嫌いになって辞めてしまう子も多いのではないでしょうか?
ボクは基礎練習の話をするときに、いつもピアノのバイエルを思い出します。
子供の頃に習ったピアノで、練習用のバイエルという指の基礎練習を延々とやらされました。
ボクはそれがとても面白くなく、途中で逃げ出してしまいました。
サッカーとピアノはあまりにも違うのでボクの個人的な感想にすぎませんが、ピアノが好きになるもっと他の方法もあったのではと思うのです。
では、どんな練習をしたらいいのか?

基礎練習をしないならどんな練習をすればいいのかを考えていきましょう。
サッカーはサッカーすることでうまくなる
このような言葉があります。
ですので、サッカーの試合に近い練習をしたいわけです。
結論から言うと
スモールサイドゲーム
です。
スモールサイドゲームとは、試合形式のトレーニング全般を指します。
ごく簡単にいってしまうと、ミニゲームのことです。
ミニゲームと一口に言っても、いろいろなミニゲームが考えられます。
例えば
| 選手の人数 | 4対3、2対1、3対3、4対5、5対5など |
| フィールドの形 | 正方形、長方形、三角形、ダイヤモンド、円など |
| フィールドの大きさ | 様々なサイズで |
| ボール | 大中小のサッカーボール、テニスボール、ラグビーボール、フットサルボール、リフティングボールなど |
| ゴールサイズ | 11人制、8人制、ポップアップ、ライン上で止めるなど |
| ゴール位置 | 通常、フィールド内、フィールド外 |
| ゴールの数 | 通常、2つずつなど |
| その他のルール | タッチ数制限、フリーマン、プレーできるエリアの限定など |
このように、ただのミニゲームにいろいろな条件を付けていきます。
この条件のことをエコロジカル・アプローチでは制約と言っています。
人数を調整したり、ピッチの大きさを変えるミニゲームをたくさんやることで、子供達はサッカーにおける様々な状況を経験できます。
試合に近い状況でトレーニングしているので、学習したスキルがそのまま試合で使えるようになります。
つまり
試合で活躍できる
のですね。
練習もゲーム性があって楽しいので、子供達はどんどん夢中になり
サッカーが大好きになる
でしょう。
最初に言った練習の目的
- 試合で活躍すること
- サッカーが好きになること
の両方が満たされることになります。
ミニゲームはかなり強度の高い練習ですので、練習時間を短縮することにもつながります。
あまり意味のない基礎練習を延々とやるよりも、短い時間で上達が見込めます。
スモールサイドゲームについて詳しく知りたい方にお勧めの書籍です↓
ストリートサッカーの要素を取り入れる

冒頭で紹介したエコロジカル・アプローチという書籍に書いてありますが、ブラジルの名選手がたくさん生まれてきた背景にストリートサッカーがあるそうです。
ブラジルの16~17歳を対象とした調査では、幼少期からサッカー組織に所属して専門的なトレーニングを受けていた選手はほとんどおらず、多くの選手はストリートサッカーで技術を磨いていたということです。
これはどういうことかというと、
ブラジルの名選手は、ストリートサッカーという遊びの中から自分で技術を磨いてエリートになる
ということです。
コーンドリブルや相手のいないシュート練習を繰り返して上手くなるわけではないんですね。
ブラジルのストリートサッカーでは人数や参加者の年齢にも多様性があり、ボールもサッカーボールだけではなく手作りボールが使われることもあります。
先ほど紹介した、いろいろな条件付けをしたミニゲームを自分たちで勝手にやっていると言えます。
ですので、われわれができることは、ブラジルで行われているストリートサッカーの要素をサッカーのトレーニングで取り入れていくことだと思っています。
まとめ:サッカーに基礎練習はいらない
まとめ行きましょう。
今日はサッカーには「相手ディフェンダーがおらず、判断を必要としない、ただ繰り返すだけの基礎練習は必要なのか?」ということを考えていきました。
結論は
基礎練習はいらない
でしたね。
ただただ繰り返す練習をするのではなく、子供達がやりたい
サッカーの試合形式のトレーニングをしよう
という提案をしました。
今日なぜこんな話をしたかと言うと、面白くない基礎練習をやらされてサッカーが好きではなくなっている少年少女が少なからずいると感じたからです。
これは非常にもったいないことですよね。
その基礎練習に効果があるのならやる意味もあるのかもしれませんが、効果があまり期待できないことも研究でわかっています。
であるならば、楽しくもあり、サッカーがいちばん上手くなるゲーム形式の練習に代えていく方がいいと思うのですが、どうでしょうか?
子供には好奇心がもともと備わっており
夢中になる
ことでその能力を伸ばしていきます。
サッカーも同じで楽しくて楽しくてしかたがないと思っているときがいちばん伸びます。
大人は子どもが夢中になる手助けをすればいいだけだと思っています。
以上、長くなりましたので今日はこの辺で終わります。
わからないことがあれば、お問い合わせフォームやX(Twitter)で直接聞いていただければお答えします。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
少しでも皆様が幸福な親子関係を築ける手助けになれたら嬉しいです。
おしまい。


